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三囚人問題と変形三囚人問題

『モンティ・ホール問題 - Wikipedia』を読んで

 ここに載っている一般的な回答は同型の三囚人問題を変形した変形三囚人問題に応用できないので間違っているのだろうが、その問題点が分かりにくい。「三つの扉、三枚の封筒」「三囚人問題の図解」「変形三択問題」と問題点を見つけるまでに考察したことを私のブログに書いてきたのだが、ここで、「三囚人問題」と「変形三囚人問題」を復習しておく。

 「三囚人問題」とは次のような問題である。

 三人の囚人A、B、Cがいる。三人とも処刑されることになっていたが、王子が結婚するというので、王様が一人だけを恩赦にしてやることになった。だれが恩赦になるか決定されたが、まだ囚人たちには知らされていない。結果を知っている看守に対し、囚人Aが「BとCのうち、どちらかは必ず処刑されるのだから、処刑される一人の名前を教えてくれても、私に情報を与えることにならないだろう。一人を教えてくれないか」と頼んだ。看守は、その言い分に納得して、「囚人Bは処刑されるよ」と教えてやった。これを聞いた囚人Aは、「はじめ、自分の助かる確率は1/3だった。今や助かるのは自分とCだけになったので、助かる確率は1/2に上がった」と喜んだという。さて、実際には、看守の返事を聞いたあとの、囚人Aが助かる確率はどれだけか。
(市川伸一著「考えることの科学」中公新書、102ページ)

 「変形三囚人問題」とは次のような問題である。

 三人の囚人A、B、Cがいて、二人が処刑され、一人が恩赦になることがわかっている。それぞれが恩赦になる確率は、罪の大きさを考慮して、1/4、1/4、1/2とされ、クジによって恩赦の囚人が決まった。その結果を知っている看守に対し、囚人Aが「BとCのうち、処刑される一人の名前を教えてくれないか」と頼んだ。看守は、かまわないだろうと思い、「囚人Bは処刑されるよ」と教えてやった。この返事を聞いたあとの、囚人Aが助かる確率はどれだけか。(ただし、看守はウソをつかないこと、囚人B、Cがともに処刑される場合には1/2の確率でどちらかの名前を言うことを仮定する。)
(市川伸一著「考えることの科学」中公新書、105ページ)

 これらの問題は次のような図(追記:一周すなわち360度で確率1。角度が各ケースの確率に比例する)を使うと解きやすい。これまでの図を少し変えた。

 図の面積の比率が答になる。『「Bは処刑」と言う』の扇の中の『Aが恩赦になる』の扇の比率を見れば良い。「三囚人問題」の答は1/3で、「変形三囚人問題」の答は1/5である。

 樹形図(ツリー表現)を書くのは面倒なので場合分けして表にしてみる。

三囚人問題(○:恩赦、×:処刑)

ケース誰が恩赦か?看守の言葉確率
Aが○Aは×0
Bは×1/6
Cは×1/6
Bが○Aは×0
Bは×0
Cは×1/3
Cが○Aは×0
Bは×1/3
Cは×0
各ケースの確率の合計=1

変形三囚人問題(○:恩赦、×:処刑)

ケース誰が恩赦か?看守の言葉確率
Aが○Aは×0
Bは×1/8
Cは×1/8
Bが○Aは×0
Bは×0
Cは×1/4
Cが○Aは×0
Bは×1/2
Cは×0
各ケースの確率の合計=1

 「看守の言葉」が「Bは×」になっているケースの中で「誰が恩赦か?」が「Aが○」になっている確率を求めれば良い。「三囚人問題」の答は(1/6)/((1/6)+(0)+(1/3))=1/3で、「変形三囚人問題」の答は(1/8)/((1/8)+(0)+(1/2))=1/5である。

 次のように場合分けしても良いかもしれない。
 Aを使わずにBとCだけで表現すると、BとCのうち「Bだけが×」「Cだけが×」「BとCが×」のケースしかない。「どちらも×ではない」は「BとCが○」ということで、二人も恩赦になることであり得ない。それぞれのケースに看守がどのように答えるかで場合分けする。直感で場合分けできるので楽である。

三囚人問題(○:恩赦、×:処刑)

ケースBとCのうち実は看守の言葉確率
Bだけが×Cが○Bは×1/3
Cだけが×Bが○Cは×1/3
BとCが×Aが○Bは×1/6
Cは×1/6
各ケースの確率の合計=1

変形三囚人問題(○:恩赦、×:処刑)

ケースBとCのうち実は看守の言葉確率
Bだけが×Cが○Bは×1/2
Cだけが×Bが○Cは×1/4
BとCが×Aが○Bは×1/8
Cは×1/8
各ケースの確率の合計=1

 「看守の言葉」が「Bは×」になっているケースの中でBとCのうち「BとCが×」(実は「Aが○」)である確率を求めれば良い。「三囚人問題」の答は(1/6)/((1/3)+(1/6))=1/3で、「変形三囚人問題」の答は(1/8)/((1/2)+(1/8))=1/5である。

 最後にWikipediaに載っているモンティ・ホール問題と回答を引用しておく。

 「モンティ・ホール問題」とは次のような問題である。

プレイヤーは、三つのドアを見せられる。ドアの一つの後ろにはプレイヤーが獲得できる景品があり、一方、他の二つのドアにはヤギ(景品がなく、ハズレであることを意味している)が入っている。ショーのホストは、それぞれのドアの後ろに何があるか知っているのに対し、もちろんプレイヤーは知らない。
プレイヤーが第一の選択をした後、ホストのモンティは他の二つのドアのうち一つをあけ、ヤギをみせる。そしてホストはプレイヤーに、初めの選択のままでよいか、もう一つの閉じているドアに変更するか、どちらかの選択権を提供する。プレイヤーは、選択を変更すべきだろうか?
「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」

 回答には次のように書いてある。

模範的な回答は「イエス」である。なぜなら、プレイヤーがもう一つのドアへ変更した場合に景品を勝ち取る可能性は、プレイヤーがもともとの選択のままである場合の2倍であるからだ。この理由は次のようになる。もともとの選択では、プレイヤーは選んだドアに景品がある可能性を 1/3 しか持っていない(景品がない可能性は 2/3);この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない。その結果、もしプレイヤーがもともとの選択に忠実ならば景品を勝ち取る可能性は 1/3 であり、従ってプレイヤーが変更した場合は 2/3 である。
ヤギの入っているドアは本質的にはその後ろに何もないドアと同じであるので、一つのドアを開けてゲームから除外する代わりに二つのドアを一つにまとめることは等価とみなせる。つまり、このことはプレイヤーがもともとのドアの選択に忠実であるか、あるいは一つにまとめられた他の二つのドアの合計を選択するか、どちらかの選択を求められていることを意味している。明らかに、景品が他の二つのドアにある可能性は二倍高い。
「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」

 この回答を変形三囚人問題に応用するとAが恩赦になる確率は1/4、Cが恩赦になる確率は3/4になってしまうから問題なのである。

 もしかしたら「この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない」の部分が間違いなのかもしれない。自明のようだが自明ではないのかもしれない。自明でなく理由があったとしたら、同じ理由で「モンティが開けたヤギのドアに景品がある確率もモンティがヤギのドアを開けたとしても1/3で変わらない」「モンティが開けなかったドアに景品がある確率もモンティがヤギのドアを開けたとしても1/3で変わらない」となりそうな気がする。
 三囚人問題に当てはめると「Aが恩赦になる確率は看守が『Bは処刑される』と言ったとしても1/3で変わらない」「Bが恩赦になる確率も看守が『Bは処刑される』と言ったとしても1/3で変わらない」「Cが恩赦になる確率も看守が『Bは処刑される』と言ったとしても1/3で変わらない」となりそうな気がする。変形三囚人問題に当てはめると「Aが恩赦になる確率は看守が『Bは処刑される』と言ったとしても1/4で変わらない」「Bが恩赦になる確率も看守が『Bは処刑される』と言ったとしても1/4で変わらない」「Cが恩赦になる確率も看守が『Bは処刑される』と言ったとしても1/2で変わらない」となりそうな気がする。

 Wikipediaに載っているモンティ・ホール問題の回答の問題点がはっきりと分かったら「モンティ・ホール問題」というタイトルで私のブログに書こうと思う。それがいつになるかは分からない。この問題について考え過ぎて他のことが疎かになっているので休みたい。

参考文献
(1)「考えることの科学〜推論の認知心理学への招待〜」(市川伸一著、中公新書)
(2)「確率の理解を探る〜3囚人問題とその周辺〜」(市川伸一著、共立出版)

キーワード
 検索してヒットして誰かがモンティ・ホール問題の一般的な解き方の問題点を教えてくれますようにと…。要するに、変形三囚人問題がモンティ・ホール問題の一般的な解き方では解けない理由を教えてくれますようにと…。
 「三囚人問題」「3囚人問題」「変形三囚人問題」「変形3囚人問題」「モンティ・ホール」「モンティホール」「モンティーホール」「モンティー・ホール」「3ドア問題」「ジレンマ」「パラドックス」

追記(2006/9/9):
 モンティ・ホール問題は三囚人問題と同型なので、円グラフは上の図のようになるのだが、ドアの選択の仕方で場合分けして円グラフに組み込んでみたらどうなるか確認してみたくて図を作った。
【こちら】【おまけ(2006/9/11)】
 図の説明は省略する。モンティ・ホール問題の一般的な解き方の問題点を考察している最中に作ったものなので、間違っていることに気づいたら変更する予定。

追記(2006/9/10):
 上記参考文献(2)に『ある制約条件を満たす場合にしか成り立たない、いわば「バグ」のある定理』として『不変の定理』が紹介されている。これは市川氏らが名づけたものだろうが、他に『人間がもっているナイーブな推定方法の基礎にある命題的信念』として『場合の数の定理』『等比率の定理』が紹介されている。これらでは「変形三囚人問題」は解けない。
 さて、紹介されている『不変の定理』は次のようなものである。

ある選択肢群の中から少なくとも1つの選択肢が消去されるのが確実なとき、それらに話題を限定して消去される選択肢が明らかにされても、話題にならなかった選択肢の確率には影響しない。
(市川伸一著「確率の理解を探る〜3囚人問題とその周辺〜」共立出版、38ページ)

 『モンティ・ホール問題 - Wikipedia』に載っている回答、すなわち多くのサイトで紹介されている一般的な回答は『不変の定理』に基づいている。私が探しているのは、この『不変の定理』の『バグ』を言葉だけ(上の図や表や樹形図やベイズの定理を用いない)で納得してもらう方法である。


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moto

こんばんは。ホームレス・ブルーから来ました。
「この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない」の部分が間違い、なのではなく、「従ってプレイヤーが変更した場合は 2/3 である。」の部分が間違いだと思います。
正しくは、「もしプレイヤーがもともとの選択に忠実ならば景品を勝ち取る可能性は 1/3 であり、勝ち取れない可能性は2/3である。」でしょう。
このあとは、意図的に(?)誤った論理展開が続いているように思います。誰かが遊んだのかな?
by moto (2006-09-11 01:01)

moto

変形3囚人問題ですが、まず看守が「(Cではなく)Bが処刑される」と言う確率を考えると良いと思います。Bが処刑される確率は3/4、Cが処刑される確率は2/4ですから、看守が「Bが処刑される」と言う確率は3/4÷(3/4+2/4)=3/5。
以降、この条件下に狭められた上で、Aが助かる確率は、3/5×(1/4÷(1/4+2/4)=1/5です。
3/5という条件に狭めることによって、Bには「退場」してもらうわけですね。
by moto (2006-09-11 01:23)

moto

モンティ・ホール問題の場合も、モンティがヤギのいるドアを開ける確率を考えて、以降、その条件の上で確率を計算しなおす、というふうに考えればいいのじゃないかな?
モンティはヤギのいるドアを知ってるわけだから、開ける確率は1。したがって、あとの計算結果は1×・・・となるわけで、なんの変化も生じない。
3囚人問題の場合は、看守が「Bが処刑される」という確率は2/3なので、2/3×・・・という条件付けになります。
by moto (2006-09-11 02:11)

正己

motoさん、コメントありがとうございます。
ウィキペディアの解説の「この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない」の部分は一般的には成立しません。それは変形三囚人問題でAが釈放される確率が1/4から1/5に変わることで明らかです。一般的に成立しないことをもっと簡単な例えで説明できればな、と模索しています。
by 正己 (2006-09-11 07:48)

moto

うーん、じゃあ、モンティがBでもCでもいいんですが、一つのドアを開けた時点で、三囚人問題と同じく、そこにヤギがいる確率は2/3なのだから、2/3の世界に突入したと考えればよいのでは?
2/3の世界では、AとC、それぞれに景品がある確率は1/2ですね。
はじめ(1の世界)から見れば、2/3×1/2=1/3ですが、2/3の世界において見れば、確率1/2。
モンティはBのドアにヤギがいるのを見せて、そのあとでは、Cに景品がある確立は1/2だと言って誘いますが、実はAに景品がある確率もその世界からは1/2なんですね。それを、元の世界での確率1/3と比較させようとしているところにモンティの罠がありますね。

変形三囚人問題では、BとCとで恩赦される確率が違いますから、そこで看守が「Bが刑を執行される」と言うことは、明らかな介入になり、確率は変動しますが、三囚人問題やモンティ・ホール問題では、看守が介入したと言えるかどうかは、数字的な結果が変わらないのだから、文脈というか、文学的な問題じゃないのかな?
by moto (2006-09-11 10:42)

正己

motoさん、引き続きコメントありがとうございます。
三囚人問題で「Aが恩赦や処刑になる確率は変わらない」というのは結果であって、その結果を前提にしてAやCが恩赦になる確率を求めてはいけないのだと思います。同様にモンティ・ホール問題で「プレーヤーが選んだドアに景品がある確率は変わらない」というのは結果であって、その結果を前提にプレーヤーが選んだドアや残ったドアに景品がある確率を求めていることに問題があるのかもしれません。結果として「プレーヤーが選んだドアに景品がある確率は変わらない」ので、それを「間違っている」と言えませんが、結果として「プレーヤーが選んだドアに景品がある確率が変わる」かもしれないので、問題を解く材料にしてはいけないのだと思います。
by 正己 (2006-09-11 12:16)

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